初夏を思わせる暑い日曜日、妻に誘われて観にいってきた。ちょうど今の季節にぴったりな鮮やかな若緑、白鹿を連れてくる神々しい淡緑、力強い深緑と、僕の好きな緑色のバリエーションが堪能できた。実物はやっぱり迫力があって、鑑賞というより体験の方が表現として適切な気がした。
東山魁夷の作品というと、冒頭のような淡い色使いばかりに目がいっていた。けれど、<<道>>や<<青響>>など本物をフルサイズでみると、線の単純化が印象に残った。一面の森も少ない筆と色でシンプルに描かれている。静かなラインが落ち着いた色の神秘さを増し、作品に強い精神性をもたらす。日本画のよいところが西洋画で表現されているように思った。
今回の展覧会では、下絵や習作、スケッチも展示されており、東山魁夷が構想を練った痕跡をうかがい知ることができる。<<たにま>>では本制作に至る五点の下絵が観られる。細部の省略によって優美な線が洗われて、どんどん東山らしくなっていく様がおもしろい。
それにしても混んでた。床が見えないくらい。最終日だってことを加味しても多すぎる(自分もその一人なのだけど)。人の頭が絵にかかって欠けた絵しか観られず、最前列に出れば近すぎて全体が観られない。展示後半はみんな流しぎみになるけれど、<<晩鐘>>など良作がごろごろしてるからやっぱり気を抜けない。くたくたになって思ったのは、「ホントにニホンジンはヒガシヤマがスキネェ」って、ことだ。ギャラリーショップも人の山。僕もハガキを数枚買ってしまったよ。
展示会の最後を飾るのは<<夕星>>。4本の木と星と池というシンプルな絵なのに、他と違う味わいを感じる。解説文を読むと、4つの木が家族の数と同じだという。これ、遺作。うぇぇ、泣くぞ俺。
懲りずに、所蔵展も観てきた。さすが国立。「ついで」なんて言えないボリューム。なかでも<<騎竜観音>>がカッコよすぎる!その名のとおり、竜の上に乗った観音様が油絵で凛々しく描かれている。濁りのないクリアな色がほのかに輝くような神々しさを生み出している。縦2メートル超の重文。足が棒なのにわざわざ2度観した。あと、舞妓さん?が中央に立っている絵もよかった。微妙な表情が楽しい。企画展はおわっちゃったけど、今後の所蔵展でも展示するかな。
そのあと、北の丸公園で青空昼食。東山に負けない緑が気持ち良かったなぁ。