- 鴨川ホルモー
- 万城目 学
- 産業編集センター 2006-04
久しぶりに小説を1日で読み切った。平日の夜中2時すぎまで一心不乱に読書するなんて、我ながらどうかしている。ただただ、先を読み進めたいと思わせられてしまった。
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久しぶりに小説を1日で読み切った。平日の夜中2時すぎまで一心不乱に読書するなんて、我ながらどうかしている。ただただ、先を読み進めたいと思わせられてしまった。

京都にうごめく変人達(黒髪の乙女も例外なく)に、主人公が翻弄されるお話。ひたすらもがき、暴走する様がおかしい。悪魔のごとき思考と風貌を備えた、変人代表小津の暗躍っぷりと浅はかさがこれまた笑いどころ。にやにやしながら一気読みしてしまった。

なんとなくタイトルにひかれて読んでみた。
まず今時の女子高生の軽妙な口調で描かれているのが面白いと思った。
壮大な妄想にお付き合いしましょう

by G-Tools , 2008/01/12
■アウトライン
炭素排出量ベースの経済に対応するため、ジャングルになった東京。裕福なものは、超巨大建造物「アトラス」多層都市に移り住み、それ以外は森に脅える地上でゲリラとなった。ゲリラ総統の女子高生、アトラスの正統後継者の少女、それを保護する超変態医者、世界経済を襲うAI「メデューサ」、最強のオカマ、脅威的な擬態能力を備える政府軍が熾烈なアトラス攻防戦を繰り広げる。アトラスに秘められた企みとは?東京の行方は?
男性がエッセイを書くと「なのである」「なのだ」を多用するから、つまらない、という指摘を読んだことがある。押し付けがましい、という。耳が痛いが、まことにその通りだと思う。本作を読んでそれを思い出した。
繰り返し読みたい小説ではないけれど、暴走っぷりは楽しい小説。
by G-Tools , 2007/12/26
沖縄、天久基地跡。日本に返還されたその土地に、巨大なペンタグラムが描かれた。琉球の大地から呼び出されようとしているのは、世界を支配するほどの力をもつ”レキオス”。米軍、変態人類学学者、混血(アメレジアン)の女子高生、百発百中の占い師(ユタ)、琉球のセチを治める巫女(ノロ)、企みを潰えようと暗躍するCIA、黒船、偉大なる王が、レキオスを巡って争う。琉球の秘密、レキオスとは一体なんなのか?
とにかく勢いのある小説。いや、むしろ暴走というか悪ふざけとしか思えない。この小説は、科学SFと宗教SFと歴史SFを同時にパロディしているのだけれど、いずれもぶっ飛んでいる。ルール無視で作者の書きたいように乱暴に書かれた感じ。その横暴ぶり、ハチャメチャぶりがこの小説の面白さだと思う。読者を裏切らない物語りは退屈になる。常識や理解を軽々と越えて、見たことのない世界を見たい。そういう意味でまことに痛快な小説だとおもった。やりすぎて読者を置いてきぼりにすることもあるけれど。
残念なことに、もう一度読みたいとは思わない。それは文章に面白みがないから。物語りをすすめるための説明っぽい。極端にいうと、「○○がおこった。△はこう思った。それは□なのだ。」という、事象とその説明というパターンが単調に繰り返される。そりゃどの小説だってそういうもんなんだけれど、この小説ではそんな印象が強い。言葉に力がないというか、味わいがないというか、行間を読ませないというか、どう表現すればよいのかわからないけれど、全体が説明的にすぎる。長編だけに退屈する。ストーリーを説明することと、話を語るのは別なんだなぁと、思った。
by G-Tools , 2007/12/01
<あらすじ>京都大学を休学し、去年半年つきあった女の子を「研究」することが日課になっている男。ストーカー呼ばわりする男との陰湿な争い、イケてない男友達との学生生活。妄想と現実を行き来しながら、たどり着く先は?
「夜は短し歩けよ乙女」が面白かったので、続けて同じ作者の作品を手にとった。いずれも思いを寄せる女性の回りをぐるぐるする話だけれど、「夜は」はライトサイド、本作はダークサイドと言えるかもしれない。ストーカーの如く彼女を研究したり、男を発散する努力だけは毎日欠かさなかったりと、随分不健康である。大学生らしいといえばらしい。ダークサイドといっても笑えるのは、断然コッチ!
些細な事件はあるけれど、主人公が望むようなことは起らない。周囲にながされるようにすぎる時間。それでもやすまずに一気に読んだ。僕自身が主人公と同じく不遇の大学時代を過ごしたことによるのかもしれない。(ストーカーではなかったよ)ドラマとは縁遠い日々。くだらない妄想で頭を一杯にし、他人の幸せを呪う。結局何も変わらない、変えようとしない日々を過ごす主人公が妙に身近感じられた。社会人になった今も、モラトリアムシンドロームを引きずっているのかもしれない。
だめな日々に挿入される、彼女と太陽の塔のエピソード。主人公が崇拝する太陽の塔を、尊敬し熱中する彼女、の様子を主人公が眺めている。この物語りで唯一幸せなシaーンだと思う。会話もないし、二人が向かい合ってもいないけど、春の日の穏やかなひだまりのように暖かい。(ネタばれかと思われるかもしれないので、みえなくしてます)
正直、つかみどころのない小説だった。雰囲気は味わえたけれど特に最後の見開き1ページ。この文章がいったい何を意味するのか良く分からない。何か大切なことを読み落としている気がする。再読が必要だろう。読みたいな。
by G-Tools , 2007/11/21
<あらすじ>舞台は京都の宵町。意中の後輩と偶然(を装った)の遭遇を求め、町を徘徊する先輩。後輩の女の子はそんなこと露知らず、美味しい酒を求めてズンズン進んで行く。竜巻に鯉をうばわれた親父や浴衣の天狗、詭弁同好会、非道な金貸し、幻のお酒偽電気ブランなど、奇々怪々な面々が彼女の前に現れる表題作他、連作短編4話収録。
不思議な読み味である。まず文体が実に軽妙だ。平易な文章にときおり場違いな硬いいいまわし(漢文や古語)が入ってくる。それが奇妙なテンポを生み出す。拍子のないコンテンポラリミュージックのごとく、文章のウネリに身を委ねることが快感になる。このリズムには嫉妬する。
物語りは、先輩と後輩の視点が入れ替わり描かれる。本丸に攻め入る勇気がなく、独り奇天烈な思考実験を繰返す先輩が情けなくおもしろい。外堀を埋めることに命さえかける、その暴走っぷりが実に痛快である。対照的に、くるものをそのまま受け入れ、すべてを前向きに捉える、まっすぐな後輩が大変好ましい。素直なだけでなく行動的な彼女は、現代版やまとなでしこ像とすら思う(いわゆる萌え?)。とにかく2人とも一途。なんとも微笑ましい。青春ってよいなぁと、羨ましくなった。
話の展開の妙については、敢えて触れないでおこう。うねるような楽しさは読んでもらうしかない。20代の作者が書いた、陽気で健全なこの小説、オススメ度はかなり高いよ。