渡辺氏が増殖している。いや、もちろん分裂しているんでも、シャーレ培養しているわけでもない。けれども、ふと気が付くと、身の回りに大量の渡辺氏がいる。職場だけでも5人いるし、ほかにも数人知っている。100人あまりの集団に5人も渡辺氏がいるということは、全世界的に比率計算すれば、2億5千万人は渡辺氏ということになる。この試算は致命的なミスを含んでいるものの、あながち間違いでもない。うそ。間違いに決まっている。
とにかく、渡辺氏がやたら多いのだが、日本の苗字ランキング上では意外にも5位ということになっている。
1 佐藤 456430
2 鈴木 403506
3 高橋 335288
4 田中 314770
5 渡辺 256706
(http://www.fsinet.or.jp/~myojikan/#zenkokuより引用)
1位の佐藤氏と比較すると6割程度しかいない。私の所属する集団には佐藤氏が2名しかいないし、これまでの人生の中でも1,2人程度しか知らないから、実体験とはまったく一致しない。むしろ身の回りに佐藤氏が少なすぎるようにも思える。試算上、10人とはいわずとも、4、5人くらいいてもいいはずである。けれども私の集団には2名しかいない。これはいったいどうした故であろうか?
2つの理由を考えた。一つは佐藤氏が極めて人見知りをする性質であるという理由だ。人前にでてこないのである。かといって、私の知っている佐藤氏は十二分に社交的だし、一概に決め付けてしまうのも人付き合い上よろしくないので、この説はとりあえず撤回しよう。
もう一つは佐藤氏が局在しているという仮説だ。よく、ある地域には特殊な名前の人ばかりすんでいることがある。特に親戚関係だというわけでもないのに、近所一体「京極」を名乗っているということはままある。苗字というもの成り立ちを考えると不自然ではない現象であるが、佐藤氏もそういう類ではないだろうか?一般人には目の付かないような山奥にひっそりと佐藤氏の隠れ村がある。そこには佐藤氏しかいない。彼らは高いプライドで一つに団結して、目標を達成しようと日々活動している。
彼らの目的は苗字ランキングトップを維持するだけではない。苗字ランキングは掛け合わせによって、常に変動する。希少な苗字(たとえば田中屋敷氏とか)は残念ながら近い将来絶える運命にある。逆にいえば、多い苗字は増加する一方である。佐藤隠れ村のねらいはそこにある。純潔の佐藤氏は時折下界へ降りてきては佐藤氏をふやす。男性の佐藤氏が心なしか多い気がするのはそういうわけであろう。そうして日本国民総佐藤にすることが彼らの最終目的というわけだ。われら非佐藤氏はそのうち蹂躙されることを覚悟すべきである。
この瞬間にも佐藤氏は佐藤氏と恋に落ちている。宿命ともしらず。
















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